警報装置を含む安全装置の誤作動は、下記のように他の装置の誤作動よりも解析が困難でした。
先ず、「異常が発生しているのに警報を発しない/安全装置が作動しない」誤作動です。
オペレータが異常を発見した時点では既に手遅れで被害が拡大したり、手掛かりが失われたりしています。
運良く被害の小さい段階で発見されても原因解析の手掛かりが少なく、解決に長期間を要したり、未解決のまま「隠れ誤作動」になる場合が多々ありました。
次に、「異常が発生していないのに警報を発する/安全装置が作動する」誤作動です。
警報装置のみの場合は、警報が作動しても運転は通常通りに行われるので、警報が作動した時点の状況が失われ、手掛かりが無くなります。
また、安全装置が作動して運転が停止しても異常は発生していないので、トレースバックの方法で原因を推理することができません。
このタイプの誤作動は、実害が無いとの理由で放置され、作動しても無視される場合が大半です。時には、作動がうるさいと感度を低下させたり、不必要との判断で除去される場合もありますが、本当に事故を知らせる場合もあるので大変危険です。
このように、手掛かりを基にトリガー信号を設定してデータを収集する従来の診断法では、手掛かりの少ない警報装置や安全装置の誤作動解析は非常に困難でした。
当診断法は、トリガー信号無しで「手掛かりを探すためのデータ採取」ができるので、手掛かりの少ない場合でも容易に解析することができます。
異常が無いのに警報装置や安全装置が作動する原因の大部分は、センサー信号がチャタリングしているためと予想されます。当診断法は、センサーがチャタリング等の異常を感知している状況と警報発令回路の保持/非保持の関連、さらに緊急停止装置が若干遅れて作動するタイミング遅れ時間等を常時記録できます。
警報装置の誤作動解決(例)
本装置はオイル回収装置で、高圧ポンプの入口と出口にPIA(センサー)が設置されていて、どちらかのPIAが圧力異常を検出するとポンプ停止回路と警報回路が作動する構造です。
数ヶ月前からポンプが停止しても警報が作動しないトラブルが時々発生していました。
警報装置の故障とオペレータの誤操作を中心に調査しましたが原因は分かりませんでした。
そこで、シーケンス・アナライザーでPIA、ポンプ停止回路、警報回路の作動タイミングを記録したところ下記のデータが得られました。
(1)上図より、PIAが配管内の脈動を検知するらしく、時々、瞬間的にONしていること。
(2)回路図より、ポンプ停止回路(B接点)と警報回路(A接点)に微妙な時間差があること。
が分かりました。
このデータが手掛かりになり、PIAはチャタリング状信号になっていてON時間の長さによっては、ポンプ停止回路作動、警報回路不作動のケースのあることが予想されたので、データ採取を続けたところ次回の誤作動で確かめることができました。